もしも、世界が美しかったら



俺はHR後、直ぐに教室を出て屋上に来た。

屋上って言っても、相原達が溜まっている本校舎じゃなくて、めったに人が来ない別校舎。

木製で古い感じの校舎だ。

3階までしかないこの校舎の屋上は、ちょうど本校舎の影になってこの季節でも涼しい。

入学直後に発見して以来、学校に来ても大体の時間は此処で過ごしている。

ここの屋上に入れる事は誰も知らないから、誰も来ない。

(ちなみに俺は扉を蹴り壊した。)


ふと相原にした話を思い出した。

俺の過去の話―――……

「……………。」

俺はずっと独り闇の中にいた。

何を見てもモノクロに見えた。

でも……………、

小晴と出会って光が差した。

紅鬼族を作って色が着いた。

…小晴は俺にとって太陽だ。

そして紅鬼族は俺な世界。

大きな世界なんて興味ない。

この小さな世界が幸せだから。


そして……

小晴が死んで太陽を失った。

紅鬼族が解散して世界が壊れた。

また暗闇。モノクロの景色。

目を閉じれば今でも鮮やかに色濃く覚えているのに。

まだ、ちゃんと君はいるのに…。

みんなで笑っているのに……。

目を開ければそこには何もない。





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