もしも、世界が美しかったら
少し間を置き授業は?、と聞くと相原の表情は少し曇った。
「………………いきたくない。」
「相原由輝がいないから?」
「碓水って………本当、痛いとこ突いてくるよね。」
苦笑いする相原は、フェンスに背中を預け空を見上げる。
「校舎にも屋上にも教室にも……由輝ちゃんいないなぁ……って。分かってたけど、やっぱり……」
寂しいなぁって思ってさ、そう言って相原は顔にかかった髪を耳にかけた。
そういや、俺も小晴が死んでしばらくは学校にも溜り場にも行けなかったな…………。
「ま、そんなもんだろ………」
その言葉に相原は伏せていた顔を上げ、俺を見つめた。
「……じゃあ、毎日来て良い!?」
「いや、それは困る。」
つーか、何でそうなる。
「あ、そーだ……。」
扉を閉めた相原はちょこんと俺の隣にすわった。
「あのさ、碓水って……ギター弾ける??」
「ギター?」
「うん!」
紅鬼族の1人、理人はギターが趣味だった。
俺も少しだけ教えてもらった事があるから、弾けるっちゃ弾ける。
「…何で?」
いきなりギター?
「あのねっ!実は私たち秋祭りでバンドしようと思ってんの!」