もしも、世界が美しかったら
「へぇ」
「だけど由輝ちゃん抜けたから…ギターが一人足りなくてさ……。変わりが見つからないと中止になっちゃうんだけど…」
みんな一生懸命練習してきたし、病気だった夏琅の生きる希望みたいなモンだったから、どうしてもやりたくて………。
シュン…、とうなだれる相原。
「俺はやらねぇからな。」
「何で!?一緒にやろうよ!」
「それが人にモノを頼む態度?」
「………ギターやって下さい。」
「ヤだ。」
「態度変えても一緒じゃんか!」
「俺は………」
もう誰とも関わりたくないんだ。
独りにしてくれ。
「――――……」
相原が何か言おうとした時………
ピリリリリッッ
屋上に携帯が鳴り響いた。
「あ、私だ。」
もしもし?、と電話に出る相原。
「なに、利玖?………え…今?……うっ、ごめんなさい………。うん…わかった………バイバーイ」
相原はパタンと携帯を閉じる。
「私、教室に戻るから!バンド、考えといてねっ」
バイバイ!っと言って相原は去っていった。
「いや……断ったし」
やっぱり良くわからねぇ奴だ…。