もしも、世界が美しかったら
「そうだな……。」
すると相原は目をパチパチ。
「あ?どうした?」
「碓氷…笑ってた方がカッコイイよーっ!!」
「…………そりゃ、どうも。」
「ほら!またそうやって、すぐに仏頂面になる!」
少し冷たい風が吹き抜ける。
それが心地よい。
相原と肩をならべ本校舎の方へ。
「あ、そういえばさっきさ…」
「うん」
「愛輝って呼んだよね♪」
ニンマリ…と少しイタズラに笑う相原。
「っ」
カァァと顔を熱に熱が集中し、手で口元を覆う。
「あはは!碓氷、真っ赤!」
「…………うるせぇ」
コツンっと相原の頭をこづく。
「……に、しても何か疲れた。」
その場にしゃがみこむ。
…久しぶりに全力で走ったしな。
運動は自信あるけど、本当体力は壊滅的だな。
本気で煙草やめよっかなーなんて考えていたら目の前に手が差し出された。
「……これから宜しくね!」
――――玲っ!
久しぶりに呼ばれた名前。
俺は差し出された手を握った。
――ごめんな、小晴。
俺、頑張るから。
もう隣にお前はいないけど…
見上げた空はあの頃と変わらず
蒼く高く美しかった。