もしも、世界が美しかったら
私が愛輝にしてあげられることはほんの少ししかないけど…。
それでも支えてあげるんだ。
「由輝は……いつもここから空を見てたんだな。」
休み時間…。
由輝の席に座った夏琅が呟く。
見てたって過去形の言葉に、由輝はいないんだって改めて実感。
寂しさを隠す様に皆で騒いでも、足りない。満たされない。
この空虚感を抱えたまま…………私達は生きていくんだ。
「これ、どうしよっか……。」
來が呟く。
來、夏琅、利玖、涼介、私で机を囲んでいる。
机の上で散乱するのは楽譜。
“俺達の友情”を題にした歌詞。
いや、今はまだ詞かな。
利玖はその中の紙を一枚取った。
“もしも君が、
立ち止まってしまったら、
歩けなくなってしまったら、
忘れないで。
独りぼっちじゃないことを。
もしも君が、
悲しくて寂しくて涙が止まらない
夜は思い出して。
俺らが隣にいることを。
もしも俺らがバラバラになっても
忘れないで。覚えていて。
確かに俺たちは共に過ごした
あの日々を。
確かに俺たちは此処にいた事を。
これから辛いことも苦しいことも
腐るほどあるだろう。