もしも、世界が美しかったら



何て考えていると…

「あのね………私、碓水君のこと好きになっちゃった」

小さな消えそうな声。

でも…確かに俺の耳に届いた。

「………は?」


――私、碓水君のこと


―――好きになっちゃった


リピートされる花梨の言葉。

……………マジ?


「あ、みんなには黙っててね?
ちゃんと自分で話すから!」

花梨の声は俺の耳には届かない。

俺は…中学のころからずっと花梨が好きだった。

でも……利玖同様、想いを伝えることはなかった。

この関係が壊れるのが怖かったから。

それに…花梨はあまり人を好きになることはなかったから安心してたのかもしれない。

そんな花梨に………好きな人ができた。


その後のことは、何も覚えていない。

ただ、花梨に好きな人ができた。

そのことだけが、重たく俺にのしかかった。






「最近お前らはどーなのよ?」


俺は訳あって独り暮らし。

部屋は寝室とリビングと台所だけの結構なボロアパートだけど、溜り場(?)にはもって来いで…。

みんなよく遊びに来る。

水遊びした俺らは、俺はスウェットに、由輝たちは体育の時に使用するジャージに着替えた。






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