もしも、世界が美しかったら
【二章】君と傷痕
―玲side―
今日も学校にはいかなかった。
ここ数日、1回も行ってない。
でも、放課後に担任に呼び出され仕方なく学校に行った。
話の内容は“出席日数が足りなくて卒業できないかもしれない”
そりゃ3年になってから、まだ片手で数えることができるくらいしか学校に行ってないからな。
俺からすれば、仮に留年したらなんだって話であって…。
別に卒業できなかったら、辞めればいい。
そんな事を考えながら、夕陽に染まる校舎を歩いていた。
帰ろうと思って歩いていたら、教室の前を通った。
別に意味なんてない。
ただ、なんとなく扉を開いた。
誰もいないと想って教室に入ると案の定…人がいた。
この教室にいるってことは、同じクラスの奴だろう。
確か……並木花梨、だっけ?
記憶力だけは無駄に良い俺は、クラスメート全員の名前を覚えていた。
もちろん知っているのは顔と名前だけで…。
相原や工藤と違い大人しい彼女とは話した事なんてないけど。
そして俺は何を思ったのか、並木に話かけた。
驚いた顔で俺を見るが、コイツ以上に驚いているのは俺自身だ。