もしも、世界が美しかったら
俺は思わずテーブルを蹴った。
テーブルはそのまま倒れる。
上に乗っていたガラスで作られていたパフェのグラスや水のコップは全部割れて粉々だ。
遊んでいたヤンキー達は真剣な表情で俺らを見つめてていた。
騒がしかった店も一瞬で静かになり、他の客たちは俺たちの事を凝視してくる。
そして理人は床へ無惨に飛び散ったプリンを見て「もったいないなぁ」と言って笑った。
「……そんなに怒んないでよ」
俺を見て困った様に笑う理人。
「今さらだけど、実は俺たち玲にお願いがあるんだよね」
一瞬、理人の声に真剣になった。
中学を卒業して以来、一度も会ってなかったのに…。
今さらなんなんだよ?
「俺ね。…いや、俺たちね。こう見えても、この2年半ずっと玲のこと探してたんだぁ。」
なっかなか見つかんなくて大変だったよ、と肩をすくめる理人。
「んな事はどうでも良い。頼みってなんだよ?」
もう嫌だった。
コイツらと話すのは。
コイツらの顔を見るのは。
一秒でも早く此処から去りたい。
「復活させようと思ってさ」
「なに、を………?」
「紅鬼族♪」
理人は目を細め笑う。