もしも、世界が美しかったら
ドクンッと心臓が波打つ。
冷たい汗が背中を伝う。
「てゆーか…俺たちは解散に納得してなかったんだよ?確かに……玲としては落とし前をつけて、はいおしまい!かもしれないけど、残された俺らはどうなんの?」
少し寂しそうに目を伏せる理人の表情が本物かなんてわからない。
だって、ほら……。
「別に玲を責めるとかじゃなくてね?………また一緒に遊ぼーよ?今の玲、全く笑わないし全然楽しくなさそうだよ?」
すぐにまた楽しそうに笑うから。
「今の玲は生きてんのか、死んでんのか分かんねぇ顔してんぞ」
「あの頃みたいに一緒に人生エンジョイしようや?」
「俺らのトップはお前しかいねぇんだよ」
真剣な顔で話すかつての仲間達…やめろよ、お前に真剣な表情なんか似合わねぇっつーの。
俺は鞄を持って背を向けた。
「玲…?」
「………悪ィな。お前らとはもう二度と関わりたくねぇんだわ」
そう言ってファミレスを出た。
――――決して……あいつらが嫌いなわけじゃない。
むしろ感謝してる。
ずっと独りだった俺に居場所を与えてくれたこと。
俺の仲間になってくれたこと。