もしも、世界が美しかったら
そこには鉄パイプを持ったガラの悪い男たちが10人近く…。
「だったら?」
「ちょっとツラ貸せや」
うっぜー…。
高校に入ってから喧嘩はやめた。
自分からわざわざ喧嘩をふっかけたことはない。
しかし、中学の時は…毎日毎日、喧嘩三昧。
そんときの仕返しとか、逆恨みとかで、未だに喧嘩をふっかけてくる奴がいる。
(ホントいい加減にしてほしい)
いつもなら適当に相手して帰るけど…
「ほら、どうした?この人数相手に怖くて手もでねぇか?」
ゲラゲラ笑うカス共。
「まぁ仕方ねーよなあ?
最強といわれた“紅鬼族”の総長さんは、大切なオトモダチを見殺しにしたヘタレだもんなー」
「………!!!なん、でっ」
何で紅鬼族のこと知ってんだよ?
何で…何で……っ!
先ほどあの話をしていた俺は、過去の話に異様に反応してしまう。
「そりゃ、昔お世話になったからなあ」
―――――…玲
頭に響く声。
いつまでも、どこまでも絡み付く俺の過去。
忘れられない記憶。
忘れちゃいけない――罪。
「っぞ!オラァ!!」
その言葉を合図に俺は鞄を地面に叩きつけた。