もしも、世界が美しかったら
…が。碓水はあっさりと私の手を掴んで退けた。
あれ?なんでー??
それどころか、掴まれた手もふりほどけない。
そして無惨にも躊躇うことなく
由輝ちゃんに「人通りの少ない路地裏」と言った。
「はっ?何で愛輝はそんなとこにいたんだ?」
「えーー…とぉ、」
……諦めて全部話すことにした。
「路地裏からチンピラみたいな男たちが逃げる様に出てきたからー…。
何かあったのかな?って思」
「アホか!!!」
その後、こってりと由輝ちゃんに説教されていた。
「変なとこで行動力がある」だとか…。
「好奇心旺盛」だとか…。
とにかくいっぱい怒られた。
「あ、目が覚めた?碓水君」
「え?………あ、はい。お世話になりました」
リビングに入ってきたお母さんに碓水は軽く頭を下げた。
「いえいえ!…それより大丈夫?一応、応急手当はしたんだけど…明日、病院行ったほうが……」
「いえ、大丈夫です」
お母さんの言葉を遮りきっぱりと断る碓水。
どんだけ病院嫌いなんだ?
「そう…」と、言ってお母さんは微笑むと利玖の方を向いて「お風呂空いたから入っておいで」と言った。