もしも、世界が美しかったら



今は夜の11時過ぎ。

あまり長居したら、相原たちは明日学校があるので迷惑だ。


「えっ!??」

「悪いけど、制服は佐田に渡してもらっていいか?ジャージも佐田から渡してもらうように言っとくから。」

佐田ってのは、俺らの担任ね。

「わか…」

「待って待って!!碓水もう帰んの!?外、暗いよ?雨降ってるよっ?」

相原兄の言葉を遮り、碓水の腕にしがみつくのは相原妹。


「大丈夫。世話になったな」

スルリっと相原妹から腕を抜く。

「大丈夫じゃない!碓水、刺されたんだよ?分かってる!?」

それでも俺を帰すまいと、リビングの入り口前に立つ。


「あ、碓水君!何か食べる?お腹すいたでしょ!」

現れたのは相原母…。

そういや…腹減ったな。

でも……

「んー、チャーハンでいい?」

俺の横をすり抜けキッチンと思われる方に入っていく。

どうやら、食べていくことになっているらしい。

相原妹の顔を見れば、にっと笑って俺を再び部屋の中に戻した。




「はい、どーぞ!」

少しして出されたチャーハン。

美味しそうな匂いが、食欲をそそる。

「いただきます…」








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