もしも、世界が美しかったら
頭に巻かれた包帯や、いたるところに貼られたガーゼや絆創膏を見て、心配そうな並木。
まただ…。
何でお前が辛そうな顔するんだ?
俺が怪我したってお前は痛くないだろ?
わかんねぇ…。
俺には全くわからない。
「別に」とだけ言って教室から
出ようと扉を開けると……
「うわ!ビックリした!」
目の前に立っていたのは相原兄。
「碓水!!お前、いつの間に帰ったんだよーっ」
相原の隣に立っている葛城が、ムスッとした顔で見てきた。
「昨日、何かあったの?」
首を傾げる並木。
「昨日さコイツ、刺……んぐっ」
余計な事を言う前に、葛城の口を手で塞ぐ。
「何でもねーよ。
…2人とも昨日はサンキューな。相原愛輝にもそう言っといて」
それだけ言って教室を出た。
「あ、玲君だー」
「久しぶりに見たぁ」
「今日もカッコイイねー」
女子からはこんな声が…
「うわ、碓水だ!」
「怪我してんぞ…」
「また、喧嘩かよー」
男子からはこんな声が…
廊下を歩けば聞こえる聞こえない程度のひそひそ話。