もしも、世界が美しかったら
―夏琅side―
今日は朝から体調が悪かった。
まぁ、夏風邪だろうとあまり気にしてなかったけど……
体育の時間。
由輝、利玖、涼介、俺と遅刻した罰でグランドを走っていた。
あったま、痛てぇ…。
それでも何とか走っていると、急に心臓に鋭い痛みを感じ、目の前がぐにゃりと歪んだ。
「………っ!??」
そして俺の体は地面に倒れ――…
「「夏琅っ!??」」
仲間たちの俺を呼ぶ声を聞いたところで……俺は意識を手放した。
気付けば白い空間に立っていた。
―――ここは?
目の前には、いつもの仲間がそろっている。
ただ、いつもと違うところは…
みんな泣いているとこ。
夏琅って俺の名前を呼びながら、涙をこぼす來。
辛そうに顔を歪めながら、來を支える由輝。
悔しそうに唇を噛み締め、うつむく涼介。
ごしごしと目を擦りながら、俺の名前を呟く利玖。
わんわんと子どもみたいに声をあげ泣く愛輝。
まっすぐに何かを見つめ、静かに泣き続ける花梨。
――どうしたんだよ?
何で…何でみんな、泣いてんだ?
何でそんな辛そうな顔してんだ?
何で、何で、何で……