もしも、世界が美しかったら

―夏琅side―





今日は朝から体調が悪かった。

まぁ、夏風邪だろうとあまり気にしてなかったけど……

体育の時間。

由輝、利玖、涼介、俺と遅刻した罰でグランドを走っていた。


あったま、痛てぇ…。

それでも何とか走っていると、急に心臓に鋭い痛みを感じ、目の前がぐにゃりと歪んだ。

「………っ!??」

そして俺の体は地面に倒れ――…

「「夏琅っ!??」」

仲間たちの俺を呼ぶ声を聞いたところで……俺は意識を手放した。









気付けば白い空間に立っていた。

―――ここは?

目の前には、いつもの仲間がそろっている。

ただ、いつもと違うところは…
みんな泣いているとこ。


夏琅って俺の名前を呼びながら、涙をこぼす來。

辛そうに顔を歪めながら、來を支える由輝。

悔しそうに唇を噛み締め、うつむく涼介。

ごしごしと目を擦りながら、俺の名前を呟く利玖。

わんわんと子どもみたいに声をあげ泣く愛輝。

まっすぐに何かを見つめ、静かに泣き続ける花梨。


――どうしたんだよ?

何で…何でみんな、泣いてんだ?

何でそんな辛そうな顔してんだ?

何で、何で、何で……







< 76 / 244 >

この作品をシェア

pagetop