もしも、世界が美しかったら
―由輝side―
――まだ、みんなに病気の事は
黙っててほしい
「「入院!??」」
朝の教室。
驚きを隠せない顔をした、仲間たちが俺を見ている。
「…ちょっ!!どういう事なの!夏琅が入院って!!!」
來が俺のネクタイを掴んで、至近距離で睨んでくる。
…が、その顔は泣きそうだった。
「…まーまー。來、落ち着いて。せっかくの美人が台無しに」
「うるさい、利玖」
來は利玖の言葉をさえぎると、「ごめんね、由輝…」と言ってネクタイから手を離した。
あー、もー、んな顔すんなよな。
「その入院って……昨日の事と、関係してる、の?」
心配そうな声で聞いてくる花梨。
「え、あ…」
「「…………………」」
みんな無言のまま真剣なまなざしで、俺を見つめる。
「夏琅は………盲腸なんだって」
「「……は?」」
みんな、ぽかんとしていたが……
「なんだ盲腸かよー」
「あー、ビックリした!」
「昨日、倒れたのも腹痛?」
入院の原因が大きな病気とかじゃないと知って安心したようだ。
「よかったぁ……」と、來は心の底から安心した顔をしていた。