もしも、世界が美しかったら
「放課後、お見舞い行こー!」
「花でも買ってく??」
「夏琅に花!?食いモンの方が喜ぶだろ!」
何時もの調子に戻り、わいわいと騒ぎだす仲間たち。
その光景を見て、ズキンと胸が痛んだ。
本当の事を知れば、この笑顔は
全て涙に変わるんだろうか?
俺はギュッと目を閉じて、強く強く拳を握りしめた。
「なーつーろーー!体調の方は、どぉだっ?」
愛輝が勢いよく病室の扉を開く。
…………静かにしろとは、病院に入ってから何回も言った。
「おぉ!愉快な仲間たちよ!」
ベットに横になっていた夏琅は、上半身だけ起こした。
顔には出さないが、思ったより元気そうで安心した。
「はい!夏琅には花より、食べ物の方が良いと思ったから…」
花梨が途中で買ったフルーツの盛り合わせを夏琅に渡した。
「お、サンキュ♪」
「腹痛くて食えねぇなら、俺が食ってやるから!」
「余計なお世話ですー」
夏琅が利玖にべっと舌を出す。
「に、してもー…。まさか盲腸だったなんてね。」
來はベットの隣に置いてあったイスに座った。