もしも、世界が美しかったら
來の言葉を聞いて、夏琅が一瞬だけ俺を見たが、直ぐに來の方にむきなおった。
俺を見た夏琅の表情は、泣きそうだけど笑っていた。
來といい、夏琅といい………そんな顔すんなよ。
「ホント!俺もビックリした」
あははーと笑う夏琅の横顔を見つめた。
「………で?」
「え?」
「何で、由輝に連絡して私には連絡してくれなかったの?」
來が夏琅を見つめる。
その目は怒っているというより、寂しいといっていた。
「え、あ、それは……。」
先ほどと違い、今度はあからさまに俺を見てくる夏琅。
俺に振んなよな…。
ふいっと視線を外すと、夏琅は
「た、たまたま会ったんだよ!な?由輝ー」と、今考えたの丸出しなことを言って俺の方を見た。
慌てる夏琅を見るのがおもしろくて、「さぁ?」と言ってやった。
「ちょ!おまっ!裏切んなよー」
「あー…、はいはい。たまたまアイマシタね」
「でも……連絡くらい、くれてもいいんじゃない?」
むぅっとふてくされる來。
「入院の準備とかで忙しかったんだって!
…それより、お前らジュースでも買ってこいよ。ほら、俺が全員分奢るし!」