実話〜頭文字(initial)─K─
飲酒運転は御法度。
その位の常識はKさんだってわきまえています。
自販機で買った缶ビールは勿論、家に持って帰ってからゆっくりと飲む為の物でした。
千円札を自販機に投入し、500ミリリットルの缶ビールを2本買ったKさん。
ところがです!
プシュッ!
「あ…………」
これはいわゆる、条件反射というものでしょう……Kさんは自分でも意識しないままに、手に取った缶ビールの栓を開けてしまったのです。
「ヤバイ!うっかり開けちまった!」
眉間に皺を寄せ、栓の開けられた缶ビールをじっと見つめるKさん。
「どうすんだよ……これ……」
あいにく、Kさんの愛車《サニートラック》にはカップホルダーなどという気の効いたモノは付いていませんでした。
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