実話〜頭文字(initial)─K─
「仕方がねぇな……手で持って行くか!」
《サニートラック》はマニュアルミッションだった為、左手はギヤの変速に使うので、右手でハンドルと缶ビールの両方を持ちながら、ハンドルを回す時のみ缶ビールを左手に持ち替えるといった器用な運転で家に向かうKさん。
「クソッ!面倒臭え!」
なんとも煩わしい運転に苛つくKさん。
しかも、トラブルはそれだけでは無かったのです!
ピピーーーッ!
突然、けたたましく鳴り響く笛の音。
Kさんの運転する《サニートラック》の前方では、厳しい顔をした警察官が棒を左右に振りながらしきりに『止まれ』の合図をしているではありませんか!
「俺かよっ!」
早く家に帰りたいKさんは、舌打ちをしながらも警察官の指示に従い道路の脇に車を止めました。
「何だよ!こんな所で取り締まりなんてしてやがって!何か用か!」
車から降りるなり、警察官に文句を言うKさんにその警察官の表情は更に険しくなりました。
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