実話〜頭文字(initial)─K─



「『何か用か』じゃない!アンタ、その手に持ってるのは何だ!」



警察官がKさんを止めた理由はそこにありました。


まだ辺りは明るくKさんが運転しながら右手に持っていたそれは、警察官の目にもはっきり認識する事が出来たのでしょう。



その警察官の問い詰めにKさんは……



「あぁ~これ?
これ、ビール♪」


「そんなこたぁ~見りゃわかるよ!警察をバカにしてんのかっ!」


「アンタが『手に持ってるのは何だ』って聞いたから答えたんだろ~がっ!」


「そんな事言ってるんじゃない!見ろ!栓が開いてるじゃないか!」


警察官からしてみれば、これはもう《決定的な現場》を押さえたつもりでした。そこまで言えばもう言い逃れは出来ないと思っていたのでしょう。


時代劇で言えば、遠山の金さんの桜吹雪。


散らせるもんなら、散らしてみやがれ!ってなもんです。



しかし……




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