実話〜頭文字(initial)─K─
「俺、飲んでないし!」
「なっっ!」
まるで、『そんな入れ墨は初めて目にしますな』と惚ける悪代官のようなKさんの言いぐさに、顔を真っ赤にして怒る警察官。
「この期に及んでまだそんな事言うかああぁぁ~~っ!」
「いや、ホントに飲んでないって!ホラッ!」
そう言って、警察官のそばに寄り缶ビールを突き出すように見せつけるKさん。
警察官がその缶ビールを覗き込むと、確かにビールは満タンに入っていて、一滴たりとも減っている様子はありません。
まるで狐に化かされたような顔でビールを覗き込む警察官に、Kさんは……
「こぼさないように持ってるの苦労したよ♪」
なんて言いながら笑っています。
「何で栓が開いてるんだ?」
「いやあ~♪何だか知らないけど、間違えて開けちゃいました♪」
「バッカヤロウ~~ッ!紛らわしいマネしてんじゃねえええぇぇぇっ!」
怒鳴り散らす警察官を背に、スタコラと車の中へと逃げ込むKさん。
そして、おもむろにエンジンをかけ、ギヤをローに入れた後、神妙な表情で言うのです……
「何なら、風船膨らませますか?お巡りさん!」
「うるさいっ!とっとと消えうせろ~~っ!」
どうやら、警察とKさんの最初のバトルはKさんに軍配が上がったようです。
しかし、これにはまだ続きがあったのでした……
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