実話〜頭文字(initial)─K─



「ったく……偉そうにしやがって!間違えて止めたのはそっちだろ~が!」


家に向かう車の中では、Kさんがたいそう不機嫌そうに先程の警察官に対しての不満を漏らしていました。


おかげで、右手に持った缶ビールもぬるくなってきてしまい、いっその事捨ててしまおうかと思った程です。


しかし、せっかくここまで持って来た以上、今更捨ててしまうのも惜しいというものでしょう。



とにかく早く家に帰りたい



Kさんの思いは、そのひとことに尽きるのでした。




目の前に見える信号を左に曲がり、二つ目の角を曲がればもう待ちに待った我が家に辿り着きます。


最後の角を曲がり、ようやく家に着いた事でKさんも、やれやれと安堵の表情を浮かべ始めた時でした……



「ん。なんだありゃあ~!」



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