実話〜頭文字(initial)─K─



「え・・・・・・」


寝耳に水とは、この事を言うのでしょう。


婦警さん達は驚いた顔で互いの目を見合わせて、次の瞬間、堰を切ったように平謝りにKさんに対して謝罪を始めました。


「す、すみません!このお宅の方だったんですか!すぐに車を移動しますからっ!」


慌ててパトカーに乗り込み場所を移動しようとする婦警さん。


しかし、もう既に時遅しでした。


その前の缶ビールの一件、そして今回の駐車違反にされそうになった事でKさんの怒りは頂点に達していたのです。



「うるせえ!もうアッタマきた!俺はこの車どかさね~からなっ!お前ら歩いて帰れ!」



門の真ん前にしっかりと横付けされたKさんの《サニートラック》。


この車が動かない事には、婦警さんはパトカーを外へ出す事が出来ません。


「そんなぁ~~!」


「当たり前だ!
お前らじゃ話にならねえ、許して欲しかったら、上司連れて謝りに来い!」


そう言い残してKさんは車のドアをロックして、そのまま家の中に入ってしまったのでした。



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