実話〜頭文字(initial)─K─
そして、その翌日の事……
早朝6時半、車で会社に向かうKさんはバイパスの赤信号に引っかかり、煙草を吹かしながら信号が青になるのを待っていました。
そこに、後ろからやって来てKさんの《サニートラック》の横に並んだのは……
「ん?あれは、夕べのお巡りじゃねぇか……」
再び戦争勃発か!
と思いきや。
パトカーに乗ったあの警察官は、引きつった笑顔でKさんに無言で頭を下げると……
信号が青に変わった瞬間、まるでゼロヨンレースのような素晴らしいスタートダッシュで、逃げるようにKさんの視界からみるみるうちに遠ざかって行ったのでした。
そして、そんなパトカーの後ろ姿を見ながら、Kさんは呟くのでした。
「スピード違反だろ……あれ……」
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