実話〜頭文字(initial)─K─



もしかして、Kさんって『雨男』なのでは?


そんな素朴な疑問をKさんに投げかけてみると……


「いや!そんな事は絶対に無い!」


と、きっぱり否定するのですが……















ザアァァァーーーッ!



「ヒャア~~ッ!また降ってきやがった!」


Kさんが建物の外に出ると、本当に不思議な程絶妙のタイミングで雨の勢いが強くなるのです。


「やっぱりKさん、雨男だよ♪絶対♪」


ケンジさんがからかうように言うもんだから、Kさんも意地になって断固否定する訳ですよ。


「よし見てろよ!今度は絶対に降ってこねえからな!」


そう宣言すると、Kさんはどんよりとした雨雲を睨みつけるように見上げながら、次に外へ出るタイミングを計っていました。


そして、暫く空とにらめっこをしていたKさんは「よし!今だっ!」と短く叫ぶと意を決したように外へ飛び出して行ったのです。



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