実話〜頭文字(initial)─K─
「あっ……今度は降ってきませんよ♪」
前のように雨が強く降る事も無く、Kさんは勝ち誇ったような笑顔を僕達に向け満足そうに言うのでした。
「ほら見ろ♪降ってこねえじゃねぇか!」
確かにその時、滝のような雨が降ってくる事はありませんでした。
「よかったですね♪」
本当に些細な事ですが、Kさんの嬉しそうな顔を見て僕も内心ホッとしたのです。
ところが、その瞬間でした。
ピカッ!ゴロゴロドッシャアアーーーン!
それはちょうど、Kさんの後方50メートル程の距離にある鉄塔でした。
あんな間近でカミナリが落ちるのを見たのは、後にも先にもあの時が初めてでしたよ……
Kさんもケンジさんも僕も、びっくりして声も出せませんでした……
「・・・・・・・・・」
Kさんの事を雨男なんて思った僕達が間違っていました。
Kさんは、そんなスケールの小さい枠組みではとても収まりのつかない、石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』にも匹敵する程の存在なのかもしれません……
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