実話〜頭文字(initial)─K─



「いやあ~♪おかげで、無事鳩を追い出す事が出来ました♪」


満面の笑みで社長に対し、御礼を申し上げるKさんと僕。


社長はと言えば、我に返り、相当に恥ずかしかったのでしょう。



こちらとは目を合わせずに背中を向け、隅の洗車ホースの水で汚れた自分のハンカチをごしごしと洗っていました。



やがて社長が帰り、僕達は仕事を再開したのですが


その時、Kさんが思い出したように僕の方を向き、尋ねるのです。















「なぁ、ところであの人いったい誰だったんだ?」


「え・・・・・・?」



その時の僕の顔は、きっと“鳩が豆鉄砲を食らったような顔”をしていたに違いありません。



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