実話〜頭文字(initial)─K─



その日の、午後三時頃だったと思います……





「Kさんっ!!
アンタ、俺の車になんて事してくれたんだっ!!」


案の定、店長が新車センターまで怒鳴り込みに来たのです。


しかし、この事はKさんも予想していたのでしょう。店長の剣幕にも、さほど臆する素振りも見せずに、落ち着いた様子で対応していました。


「なんだよ。洗ってやったのに……まぁ、半分だけだけどな♪」


「あれが洗ったって言えるかっ!イタズラ描きまでしやがって!」


「そりゃあ~テメエの車が汚ぇからだろ!
あんなの、水で洗えば落ちるよ!」


「クソッ!ふざけた事を……そもそも、アンタになんか洗車を頼んだ覚えは無いぞ!」


「そういや、そうだな!」


そう呟いた瞬間、Kさんの表情が変わりました……



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