実話〜頭文字(initial)─K─
「ひとこと言ってくれれば、手伝ったのに……」
「ハハ♪それじゃ、店長と一緒になっちまうだろ♪」
「違いますよ!嫌々やるのと進んでやるのは!」
「そうか、でも、もう終わるからよ♪」
少しむくれる僕を宥めるように、Kさんは優しく微笑んでいました。
すると、そこへ僕達二人の姿を見つけたのか、店長がやって来ました。
すっかりキレイになっている自分の車を見て、店長はKさんに頭を下げたのです。
「Kさん、ありがとう!俺も今回の事は反省したよ!……いや、実はこの後本社で会議があって、今から車洗おうと思ってたところなんだ……」
「へえ!今から会議かい?……店長も大変だな♪……じゃあ、俺達はコーヒーでも飲んでから帰るとするか~♪」
Kさんがポケットから小銭入れを出すと、店長がそれを制するように、五百円玉を僕達に渡しました。
「おっと、コーヒー位は奢らせてくれよ♪
洗車代だ♪」
僕は、ニッコリ笑ってその五百円を受け取ると、三人分の缶コーヒーを買いに自販機へと走りました。
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