実話〜頭文字(initial)─K─
「体毛をピンクに染めた豚は、ウチの方ではちょっとお引き受け出来ないんですよ!」
「は?…………」
「ですからあの豚、体毛をすべて“ショッキングピンク”に染めてらっしゃいますよね!」
「ホントですか!そりゃあ~!」
業者から衝撃的な事実を知らされた親父さんは、口をあんぐりと開けながらKさんの方を振り返りました。
その視線の先には、まるでイタズラ小僧のように満面の笑みをしたKさんの姿が……
「やっぱり、あれは売り物にならねえよな~♪」
庭へと出てみると、業者さんの言う通り、Kさんが連れて来た豚はまるで夜店で売っているヒヨコのように見事なショッキングピンクで染められていました。
「このヤロウ!まったくロクな事しやがらねぇ!」
「ムハハ♪こうなったら、この豚はここで面倒見るしかないな、親父♪」
実は、Kさんがこの豚をピンクに染めたのは、実家へ連れて来るほんの2日前の事でした。
つまり、これはこの豚が業者に出されない為のKさんの対抗策だったのです。
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