実話〜頭文字(initial)─K─



「このヘタクソ!」


スーパーに着くなり、奥さんに悪態をつくKさん。


「だって、こんな所に塀があったんだもん……」


「だからって、ぶつける事ねぇだろ!」


傍らに転がっているバンパーを拾い上げ、軽自動車の中に押し込むと、Kさんは自分の乗って来た車のキーを奥さんに渡しました。


「それに乗って帰れ!
俺がこっちに乗るから!」


「うん、わかった♪」


「いいか、俺の車ぶつけるなよ!」


「うん♪」


「うんじゃねぇよ……
ったく……」



それが、Kさんから聞いた最初の話でした。



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