実話〜頭文字(initial)─K─
「じゃあ、後でここに電話してくれよ!」
追突して来た相手と連絡先の交換をすると……
Kさんは、おもむろにハンドルを右に切り反対車線に出ると、そのままバックで反対車線を走り出したのです!
反対車線を対向車と逆方向に走る事を『逆走』と言いますが、この場合、車の向きは逆でもバックで走っているので……
何と名付ければ良いのでしょうか?
右手をハンドルに、そして左手で助手席のヘッドレストを抱え、後ろに首を向けたまま、半分潰れた車を操り結構なスピードで交通の流れに乗って走るKさん!
周りのドライバーの唖然とした視線を一心に集め、2キロ程の道のりを走破し無事に会社まで戻って来たのです!
「信号待ちで、後ろの奴と目が合って気まずかったよ♪」
僕が、どうしてそんな無謀な事をしたのかと聞いてみると……
「レッカーの奴がなかなか来ないから、待ってられなかった!」
煙草の煙を吐き出しながら、Kさんはそう答えたのでした。
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