実話〜頭文字(initial)─K─
不審者
ある冬の日曜の朝。
Kさんは、庭の落ち葉を掃除する為にホウキとチリトリを持って家の外へと出てきたのでした。
すると、その時です……
「ん、誰だありゃあ?」
Kさんの家では庭で犬を放し飼いにしている為、庭の周りは垣根で囲われているのですが、その垣根越しに怪しい一人の男が立っていたのです。
その男は、Kさんの知らない男でした。
垣根の外から、庭の中を覗くようにして立っていたその男は、Kさんと目が合うと慌てて顔を横に向けたのですが、それでもその場を立ち去る様子はありません。
不審に思ったKさんは、当然のごとく庭の外へと出て行ったのでした。
すると、庭の門を出て男の方を見たKさんは、なぜその男がそこに立ち、Kさんと目を合わせて顔を背けてまでもその場を立ち去らなかったのか、ようやく理解したのです。
Kさんとその男とは全く面識が無い、いわば“赤の他人”なのですが、Kさんはその男に対し言葉を発しない訳にはいきませんでした。
なぜなら…………
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