実話〜頭文字(initial)─K─
隣の家の影から、その隣の家の影から、そしてその向かい側の電柱の影から……
出てくるわ、出てくるわ……その男の仲間らしき男達が!
「なっ、なんだお前らはっ!」
どうして朝っぱらから、こんな店も無い路地にこんなに人間が集まっているのか……
しかも、家の影に隠れているのか……
その状況は異様としか言い様がありませんでした。
いったい、この連中は何者なのかと
Kさんが思い巡らせていると、その中のリーダーと思わしき一人の男がKさんに話し掛けて来たのです。
「驚かせてしまってすみません。
私達は決して怪しい者ではありません」
「十分怪しいだろっ!」
Kさんの言う通り、十分過ぎる程に怪しいこの男達。
しかし、よくよく話を聞いてみると、なぜこの男達がこんな所に集まってしかも隠れていたのか、その理由がKさんにも理解出来たのです。
「実は、我々はこういう者でして……」
そう言ってリーダーの男が上着の内ポケットから取り出した物。
それは、警察手帳でした。
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