実話〜頭文字(initial)─K─
「悪党とは、どういう事なんですか!良かったら私達に聞かせて下さい!」
「アイツは悪党だよ。
ところで、アイツ何やったんだ?」
「実はまだ確証は無いのですが、あの〇〇という男には、違法薬物所持の疑いがありまして……」
「あぁ、やっぱりな!アイツならやりかねない!」
いったいKさんは、〇〇の何を知っているのでしょう。
もしかしたらKさんは、刑事達が血眼になって追っている事件の重要な手がかりを知っているのかもしれません!
刑事達もその可能性を感じたのか、興奮気味にKさんから話を聞き出そうとするのです。
「お願いします!教えて下さい!
なぜ、〇〇ならやりかねないと思うんですか!」
そして、真剣な表情で懇願する刑事に気分を良くしたのか、Kさんは得意げに被疑者〇〇についての自分の知っている事を語り始めたのでした。
「そんなに知りたいんなら教えてやるよ。
ここら辺は、あのアパートも含めて全部同じ組に入るんだよ……それで、持ち回りで班長とか、ゴミ当番とか、祭りの係とか決めるんだけどさ……」
「フム……それで?」
刑事達は真剣でした。
まだ、容疑者である〇〇を検挙するまでの証拠は揃ってはいないのですから。
だからこそ、こうして朝からアパートの張り込みをしているのです。
刑事達は、懐から手帳とペンを取りだしKさんの言葉を一言一句聞き洩らすまいと必死にメモを取るのでした。
「それで、〇〇が悪党とはいったいどういう事なんですか!」
その刑事の問いに、Kさんは答えたのです。
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