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「…………僕が学校から帰ってきた時にはすでに家は燃えていました………。警察の話によると…仕事から帰ってきた父はアルコール度の高いお酒を飲み、酔った勢いでタバコに火をつけてしまったみたいです…」
まるで何かを朗読しているかのように。前田は心が無い声で説明した。

「……火はそのまま爆発するように酒に引火して、家を一瞬で火の海と化した…という訳か…」
「………うん……。さらに最悪なことに母も隣りの部屋で寝ていたから……」
「………もういいよ…翔くん……」

慌てて止めに入る。


「……たまに火事跡を見に来てたけど……まさかここで殺人事件が起きるとは…ますますツいてないね……僕たち家族は……」

前田は鼻で笑いながら言った。


「……あまり考えない方がいい……。……ごめんね…色々聞いてしまって…」

「……いえ…。……ただ……









……絶対……







…絶対に犯人を捕まえてくださいね…!!」

前田の表情は胸中の思いを語っていた。



「………うん………分かった…!」

正直まだ足取りを完全に掴んだ訳ではなかったため自信はなかったが、今はそう答えるしかなかった…

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