ADULT CHILDREN
警察署に着いてからは
父の知り合いの警察官に色んな事を聞かれた。


警察は後藤さんの家がシンナーを吸う人達のたまり場である事を知っていた。


無理矢理連れていかれたんじゃないか?

監禁されていたんじゃないか?


何度もそう聞かれて、私はすべて自分の意思でそこにいたんだと答えた。


後から
後藤さんに前科があるという事も聞いた。



父は私を叱らなかった。

申し訳なさそうな笑顔でこう言ったのだ。


「さえこ、ごめんな。今度からお父さんになんでも言ってくれ。情けない父親だよ…本当に」


続けて警察官が言う。


「お父さんもこう言ってくれるんだから、しっかり学校に行って、中学生らしく生きなさい」


反省していた私には父の言葉が嬉しかった。


警察官の言葉がずんときた。



自分が間違っていたんだ。


父は自分の事をちゃんと見ていてくれたんだって。




思ったのに―――――――――
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