ADULT CHILDREN
私は母の手を振り払い立ち上がった。



「てめえ嘘ついてんじゃねーぞ!!」



初めて怒鳴った私に
父も母も口を開けて驚いていた。


父がそんな私を落ち着かせるように
冷静な口調で投げた言葉は
私が望んでいた言葉ではなかった。



「本当の事を言いなさい。今ならまだ許してあげるから」



父の言葉に涙が溢れた。



「お父さんも信じてくれないの?」



目を合わさない父と私の間に入るように母が割り込む。



「あんた頭おかしいんじゃないの?誰が信じるのよ。あんたみたいな子供が言う事。」




父は黙っていた。
何も言ってくれなかった。
母の言葉が父の心の声であるとわかった。



今まで溜めて溜めて、自分の中に蓄積されてきたものすべてが爆発して
何も考えられなくなった。

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