ADULT CHILDREN
それからまた学校へ行くようになった。


クラスに友達はいても、あまり話す事もなかった。


中学生くらいになるとやたらと噂話をしたり、グループを作ったり、わざわざ用もないのにトイレに付き合ったり。

そういうのが面倒で。


担任に指導室に呼ばれて髪を黒くしろと言われてその通りにした。


しばらくして三者面談があって、私はそれを一人で受けるつもりだった。


だからそれを知らせる手紙も
母に渡さなかった。


だけど当日母はやって来た。


担任が電話していたのか
母が自分で知ったのかはわからない。


担任と母が勝手に話を進める。



「さえこはどこか行きたいところがあるのか？」


担任は、普段は苗字で呼ぶ癖にこんな時に限って
如何にも自分は生徒と親密な関係を築いていると見せ付けるように下の名前で呼んでくる。


そんな大人が大嫌いだった。


父と母と同じ。
中身はぐちゃぐちゃなのに、他人には良く見られないと嫌という大人の自分勝手なプライド。


「働きます。」


「働くってどこか宛はあるのか？」


「いいえ。バイトか何かするつもりです。」


担任は母と目を合わせ、私を嘲笑う。


「世の中そんなに甘くないぞ？」



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