ADULT CHILDREN
「部屋に戻りなさい」


「なんでですか」


「いいから黙って戻れ!!!」



きっと外には丸聞こえだった。

母はもの凄く大きな声で怒鳴っていたから。


でも
誰も助けてなんかくれない。


父と母が私が言う事を聞かない子だと
言いふらかしているから。


またあそこの家のさえこちゃんが何か悪い事をしたのねって
きっと
そんな風に思われてたんだろうな。

みんな本当の父と母を
知らないから。




部屋に戻ってベッドに横になる。



はやく大人になりたい



何度そう思っただろう。



でも時間は
私の都合のいいようには進んでくれない。


この頃の1分はどれだけ長かっただろう。



その日の夜私の分の夕食は準備されていなくて、夜中お腹の空いた私は冷蔵庫を覗きに行った。


すると冷蔵庫には一枚の紙が貼ってあった。



卵6個
漬け物100グラム
ハンバーグ1個……


それは冷蔵庫の中身すべてが事細かく書いてある紙だった。


何これ……



そう思っているとリビングの電気がついた。



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