ADULT CHILDREN
母は祖母が来ると家の事を何ひとつしなくなる。

祖母はそれでも何も言わなかった。



私は祖母がくるとよく手伝いをした。


何年経ってもやはり祖母は私にとって甘えられる母のような存在だったから。


だから祖母を顎で使う母が許せなかった。


祖母は足が悪く、お風呂場などは足場が悪い場所の掃除は危ない。


そういう事も知った上で、すべてを祖母にさせていたから。


だからその時は代わってお風呂掃除をしていた。


母は祖母にありがとうさえ言わなかった。



ある日、学校から帰ってくると祖母がいつもの様にひなたぼっこをしながら音楽を聞いていた。


「ただいま」


祖母の背中に声をかけると祖母は振り返って優しくおかえりと言ってくれる。



いつもは暗く見える家も
祖母がいるだけでとても明るい温かい家に見えた。

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