ADULT CHILDREN
私が喘息になったからと
両親が煙草をやめる事はなかった。

すぐ側で吸う事さえも。


「悪い子だから喘息が出るのよ」


連夜喘息の発作が出るのも私自身の責任だと言った。



ちょうど同じ頃、父と母にひとつのドラマを見せられた。

R15の作品。

戦争の話で、見るに堪えないシーンが幾つも出てきて何度もテレビから目を背けた。

小学2年生の私にはそれが怖くて怖くてたまらなかった。


その時から毎晩怖い夢を見て何度も夜中に目を覚ました。


「怖い夢を見た」


泣きながら母の元へ行っても母は起こされた事で機嫌を悪くする。

私が怖がる事に付け込み早く寝ないとまた怖い事が起こるぞと脅す事もあった。


夢を見るのが怖くて眠れない日々が続いた。



両親や弟、自分が死ぬ夢。

中でも戦争の夢が1番多かった。


燃え上がる炎の中で母を必死に探す夢。


死んでしまった母のお墓に花を添える夢。


泣きながら目を覚ます事は珍しくなかった。


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