ADULT CHILDREN
ひとつ聞いてみたい事があった。


「もし彼氏ができたらさ、援交やめる?」



それは紗枝にとって難しい質問だったらしくしばらく頬杖をついて考えこんでいた。



「多分やめたくてもやめられない…と思う。今私家賃も電気も学費も払ってるし、やめられないよ。それにやめたら私、その彼氏以外居場所なくなっちゃうもん。」



この時初めて
自分より紗枝の方が不幸だと思った。


自分で稼がなければ、家に住む事も
学校へ行く事もできない。


それに比べたら私なんて…



今日貰ったお金を取り出して紗枝のバックに入れた。



「何してんの!?何もしかして同情した?」


何も言えなかった。


その通り。
彼女に同情していたから。



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