ADULT CHILDREN
また傷つく――――


またアザができる―――――――

私は盗んだりなんかしてない―――




「まだ認めないのか!!」



父は手を止め息を切らして言った。


「…わかったよ。」


殴られる痛みを


堪えきれなかった。



「わかったわかったわかった!!」



力のない足を奮い立たせて怒鳴った。


「援交してんだよ!!親父に体売って稼いだ金なんだよその金は!!」


嘘をついた。


そんな話だけは信じる親だから。


傷つけたいと思った。


そんな事を言っても
二人が傷つくわけなどないのに。



母も父も目を丸くして固まる。


「誰がてめえらの金なんか盗るかよ。…いいよ…やるよその金」


立っている事が辛くなりテーブルに手をついた時だった。



母に灰皿を投げ付けられたのは。


「シンナーはするし泥棒はするし援助交際はするし…おまえみたいな奴がいるからうちは目茶苦茶になるんだ!!出ていけ疫病神!!」


額から生暖かいものが流れてきて
目に入ったそれを手で拭ってみると
手にはねっとりと血がついていた。

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