ADULT CHILDREN
「慌てて逃げてきたんで、多分置いたまま…」



少し落ち着きを取り戻した私はゆっくりと深呼吸をした。



「置いてきたって道端に?」



よく覚えていなかった。
荷物ごと車に乗せられたのか、それとも荷物は道端に置かれたままだったのか。
私はそのままをけんちゃんに伝えた。



「わかった。とりあえずお風呂入る?それからゆっくりしていいんだからね」



私は言われたままバスルームに向かう。



「これ使ってないシャツだからよかったら使って」



けんちゃんはまだ袋に入ったままのシャツを私に渡すとバスルームを出た。




一人でシャワーを浴びているとまた涙が出てきた。
悲しくて

悔しくて。


そして、

けんちゃんの優しさが嬉しくて。

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