ADULT CHILDREN
俊が知っている道に出ても、私は適当な道を言い続けた。
一時間経っても家に着かない事に漸く違和感を覚えたのか俊は車を停めた。


「家どこなの?」


「私、家ないの」


「え?家がないってどういう意味?」


「今家出してるの」


「家出!?なんで?」


シートを軽く倒しもたれていた俊は体を起こし顔を覗いてくる。


「…色々あって」


「いや帰った方がいいよ!絶対親心配してるって!」


その言葉がカチンとくる。


「うちの親は心配なんかしてない」


俊の視線から逃れるように徐に外の景色へと目をやる。


「そんな事ないよ。絶対心配してるって!」


だけど次の瞬間には振り返って、俊を睨んでいた。


「何も知らない癖に絶対なんて決めつけないでよ!私の親は私を殺そうとしたの!そんな親が絶対心配してるなんて思う!?」



やり場のない思いをぶつけてしまったと、困惑する俊から慌てて目を逸らした。
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