ADULT CHILDREN
「ごめん」
「…いや私が…ごめんなさい…」
俊が何も悪くない事くらいわかっているのに
素直にすぐに謝れなかった。
「でもさ、それが本当なら警察行った方がいんじゃないの?」
ハンドルを両手で握りしめたまま遠くを見つめた後、俊は私の方へと首を動かす。
「警察?」
それは、今まで思いもつかなかった事だった。
「うん、だって殺されそうになったんなら殺人未遂でしょ?警察に話したら、動いてくれるんじゃない?」
「警察が動いたらどうなるの?」
「捕まると思うよ」
正直、今の苦しみから逃れる事ができるのなら
自分がされてきた事を言ってしまいたいと思った。
だけど、捕まると俊が言った瞬間に胸の奥で感じた事のない傷みが走る。
「捕まったら私はどうなるの?弟は?」
「わかんないけど…施設とか…?」
あんなに親が憎いと思っていたのに、親が捕まるのは嫌だと思った。
「警察には言わない…」
呟いた私の答えに俊が何か言葉を返す事はなかった。
「…いや私が…ごめんなさい…」
俊が何も悪くない事くらいわかっているのに
素直にすぐに謝れなかった。
「でもさ、それが本当なら警察行った方がいんじゃないの?」
ハンドルを両手で握りしめたまま遠くを見つめた後、俊は私の方へと首を動かす。
「警察?」
それは、今まで思いもつかなかった事だった。
「うん、だって殺されそうになったんなら殺人未遂でしょ?警察に話したら、動いてくれるんじゃない?」
「警察が動いたらどうなるの?」
「捕まると思うよ」
正直、今の苦しみから逃れる事ができるのなら
自分がされてきた事を言ってしまいたいと思った。
だけど、捕まると俊が言った瞬間に胸の奥で感じた事のない傷みが走る。
「捕まったら私はどうなるの?弟は?」
「わかんないけど…施設とか…?」
あんなに親が憎いと思っていたのに、親が捕まるのは嫌だと思った。
「警察には言わない…」
呟いた私の答えに俊が何か言葉を返す事はなかった。