ADULT CHILDREN
ノックもなしにドアが開き
驚いてそこに目をやると
ひとつ違いの弟、雄太が立っていた。


「どうした?」


平然を装う私の前に雄太は座り、慌てた様子もなく冷静に聞いてくる。


「何?お父さんとお母さんはどうしたわけ?」


「いや…」


答えに戸惑う私の言葉を待つ事なく雄太は口を開く。


「離婚するって?」



両親の不仲を感じとっていたのは私だけではなかった。

弟二人も
もうこの時わかっていたのだ。



「いや…えっと…」



結局、私は
胸にある不安を自分の胸に留めておける程、大人にはなれなかった。



「500万!?絶対離婚だろうね…」


修平の目には溢れんばかりの涙が浮かんでいた。


「どうなるかわからないけど…もし、もしそうなったら私達…どうする?」


いつになく真剣に話し合っている私と雄太を見て
修平はボロボロと涙を零しながら壁に背を預け、座り込んでいた。



「俺は…」



会話の途中で突然部屋の電気が消え、辺りを見ると修平がスイッチの部分に手を置いたまま私達を見た。
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