ADULT CHILDREN
「こうやって節約すれば離婚しない?」
肩を震わせ、鼻を啜る修平に近寄り
そっと手をとった。
「大丈夫だよ、きっと。」
根拠などなくてもそうやって励まさなければいけないと思った。
「俺バイトしようかな。中学生になったら何か探すよ。ってか高校行けるのかな」
雄太に動揺した雰囲気は一切なかった。
本当は不安だったと思う。でもそれを見せようとしないのは、私と同じように修平をこれ以上不安にさせたくなかったからか
それとも、私が動揺を隠しきれていなかったのか。
どちらにしろ、それは雄太の優しさだった。
「僕、兄ちゃんとも姉ちゃんとも離れたくない」
腕で涙を拭う修平に心を打たれる。
私がしっかりしなければ。
「大丈夫。雄太は働かなくていいよ。姉ちゃんが働く。修平も、大丈夫だから泣かないで。3人とも絶対離れなくていいようにするから。」
自信も根拠もない。
働くと言っても何からどうすればいいのかさえもわからない。
親の離婚をとめられる自信もない。
だけど
言葉だけでもこうでないと、本当に最悪の予想通りになりそうで不安だったから。
長女としての精一杯の強がりだった。