ADULT CHILDREN
父が来る前に佐藤さんがお風呂からあがってきた。


「どうかした?」


携帯を持ったまま突っ立って茫然としていた私に声をかけてきた。




「今からお父さん来るんだけど…ごめん少し向こうに行ってもらっててもいい?」



「お父さんどうしたの?別に俺はいいけど」




「借金があるって死のうと思うって」



「…え……大丈夫なの?」



会話を挟みチャイムが鳴る。



「詳しい事また後で話すからとりあえずこれ…」



ご飯をのせたトレーを佐藤さんに楚々くさと渡す。



「何かあったら言って」


「ありがとう、ごめんね」


佐藤さんが別の部屋に入って私は玄関のドアを開けた。

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